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 地方間競争が激化する中、それを勝ち抜くにはITをいかに住民、行政に普及、活用するかにかかっている、といわれています。鳥取県では光ケーブルによる「鳥取情報ハイウエイ」とその支線を全市町村に張り巡らせ、高速大容量の情報通信を実現しようとしています。その一方でデジタルデバイド(情報弱者)の問題もあり、全県民がIT時代を享受するにはまだまだ時間がかかりそうです。新年にあたり片山善博鳥取県知事に全県IT化の夢を語ってもらいました。聞き手は前田親保理事長です。
<情報インフラで先を進む>
――政府は2005年までに世界最先端のIT国家を目指し、2001年1月にe−JAPAN戦略を策定しました。それによると4,000万世帯が高速ネットワーク網に常時接続できる環境整備、行政の情報化、効率化を図ることなどが主な柱となっています。本県においては情報ハイウエイの設置が平成15年度中の完成を目指して意欲的に取り組まれているわけですが、これの活用をどのように考えられていますか。
知事:交通インフラでは鳥取県はかなり遅れをとっているわけです。高速道路にしても不十分ですし、鉄道は単線、非電化だし、航空路線はまあまああるにしても便数は少ないし。これからの時代に従来は交通の関係ではちょっとハンディがありましたけれどもITの時代にはハンディがないように、むしろ先に進むようにしたいと思って情報ハイウエイを整備しているんですけども、これによって県内に情報インフラを敷いて教育面でも文化面でも医療面でも福祉面でも、それから民間企業の産業面でもインフラを利用して様々な活動ができるようにしたいと思っています。県が幹線に責任を持って取り組み、その幹線と市町村との結びつきは市町村が主体的にやってもらう。もちろん県も応援する。さらに市町村からそれぞれの家庭、地域にラストワンマイルを整備してもらう。これも県が応援しますけれども、そういうネットワークを敷く事によって鳥取県全体をIT先進県にしたいということです。
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 <県民と県庁の間を直結>
――行政の情報化ということで、知事はこれまで、現場主義、タイムリーな仕事、情報公開、県民との情報共有などを推し進めておられます。ITは、これらをより前進させる有効なツールと言われていますが、今後、ITを活用してこれらをどう進めようと考えておられますか。
知事:これはひとつは今、鳥取県は電子県庁づくりをやっていますので、電子県庁の大きな武器になると思うんですね。県庁の中はネットワークができていますからデジタル化を進めていけることはもちろんなんですけれども、県庁と県民のみなさんとの間のアクセスが容易になりますので、いつでもどこでも低コストで県庁にアクセスをしていただける。県庁の持っているデータを活用してもらうということもそうですし、それから県庁に対する種々のアクション、申請とかそういうこともそうですし、県庁への提案、不平不満も含めた、そういうものも県庁に寄せていただく。いずれにしても県庁と県民の間が直結する。こういう関係ができればいいなと思っています。
<たくましく柔軟性のある組織に>
――行政と住民が近くなる、俗にe−デモクラシーというような事が言われていますが、電子自治体が進むことにより地方自治はどのように変化するとお考えですか。また住民側のメリットはどのようなものがありますか。
知事:これはね、使い方次第だと思うんですよ。使うほうの心構えと使い方次第だと思うんですけども、いい使い方をすれば行政、県庁、市町村も含めてですが非常に公開体質をつくり、透明性が確保される。オープンな行政体になると思っています。ただ使い方を間違えるとかえって、行政はツールによって大量の情報を保有する。それに対して住民からアクセスができないようにしてしまえばデジタルデバイドが行政と住民との間にかえって大きくなる恐れもありますけど、それは使い方によって行政と住民の皆さんとの間をフラットにして情報を共有するというそういう面では非常に大きな武器になると思います。あとですね、県庁の中でいえば従来ひとつは縦割り、階層制と言うかピラミッド型、この縦割りとピラミッド型のなかでいわゆる稟議制、決裁制度のシステムの中で政策決定しているわけですね。これがかなり崩れてくると思います。いまでもかなり崩れていますけれども。というのは私は一番大切な事と思っていますのは稟議制度、決裁システムのもとでは自分の直前の人の意見だけ上がってくるわけですよ。 いろんな多様な意見、反対意見のある中で私のところに上がってくるのは私の直前にみた人の考え方に集約されて出てくるわけです。けれどもそこに至るまではいろんな多様な意見があるはずなんです。反対の意見もあるし、別な案もあるし。それが取捨されて稟議として上がってくるわけでしょう。これは一見合理的な面があるんですけども実はすごくもろい面がある。その意見が間違っていた時に選択肢がなくなるんですよ。ところが電子県庁になって決裁システムが崩れてきてフラットな組織になってくると、いろんな意見が多種多様な意見が併存している中で選択をするということが可能になるわけです。これは私は非常に組織としてはたくましくなると思います。柔軟性が出てくると思うんですよ。
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<デジタルデバイドの解消>
――先程おっしゃいましたけども情報弱者、ようするにデバイドの問題が当然でてくるんですけども、これの解消の仕方としては何か県のほうは対応を考えておられますか。
知事:デジタルデバイドの解消というのは非常に重要な事です。一方で便利になる人たちが増えてくる、他方で取り残される人が出てくる。相対的に(格差は)かえって増えてくるわけです。ですからデジタルデバイドの解消と言うのは大変重要な政策で、県もハードの面でもソフトの面でもデジタルデバイドの解消を今やっています。それは例えばソフトで言いますとパソコンに習熟する機会を増やすということをやっていますし、ハードの面だったら障害者の皆さんというのは一番パソコンを使う事によって利便性が増す方々なんですね。というのは障害者の皆さんというのは距離の問題というのがあるんですね、どっかに行くとかですね、役所に行くとかそれはすごく障害があるし、障害の種類によっては例えば話す事に障害があるとか見る事に障害があるとかいろんな障害がありありますが、それがパソコンによってある程度いろんな機能を補う事によって障害者の皆さんが障害の部分を克服する事ができるので、そういう意味ではいちばんパソコンを活用していただきたい人たちなんですけども、そういう人たちが皆が皆パソコンを持っておられるかというとそんなことは決してない。しかも周辺機器を補助的な機能を付設しようとするとお金もかかるので、そこで民間の皆さんの協力も得て県が仲介、必要な機能をちょっと付設してさしあげて障害のある皆さんに提供したりしているんですけども、これも続けていきたいと思っています。そういうことをいろいろやってもやっぱり習熟する機会のない人と言うのはおられますから、当面はある程度はデジタルな部分と従来型のアナログな仕事のやりかたとの併存をやっぱり考えなくてはいけない。全部デジタルに替てしまうとほんとに取り残される人が出てきますからね。ある程度は非デジタルな部分を残しておかなくてはいけないと思います。
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<事後検証できるシステムを>
――もうひとつ、このITが進む事に対して最大の弱点はセキュリティー問題といわれています。セキュリティーには大きく分けて3つあると思うんです。一つは建物などの物理的なもの、コンピュータとかソフトなどの技術的なもの、それからもう一つ扱う人の問題があるんですけども。いろんなデーターを見ると、故意にではないでしょうけども内部からの漏出がかなりの率を占めている事なんです。そこの対策が何か必要だと思いますが。
知事:これはもう徹底して漏えいしないシステムをつくるということ。これはやらなくてはいけませんね。だけどもどうしてもそれをかいくぐろうとする人がいますから、悪用しようとする人が。だからそれに対する補完装置として例えば県なら県の持っている情報を誰が、いつ、できればどういう目的で使ったかということがあとで事後に検証できるような、チェックできるようなそういうシステムが絶対必要だと思うんです。それによって不正な使用とか漏えいとかチェックできて、以後の漏えいを防げますから、それをやろうと思っています。あとはでも最終的には人間の1人ひとりのこれに携わるもののモラルや責任感だと思いますからこれも徹底しなくてはいけないと思います。それともう一つはネットワークとしてシステムが広がれば広がるほど危険度は増すと思うんです。住民基本台帳システムなんかまさにそうなんですね。したがって、システムが広がるほど便利になるんですけど危険性が増すから絶対漏えいしてはいけないようなものについては広がりのシステムとは別のクローズドなシステムに持っておくという二元構造が必要ではないかなと思っています。 ただ、そこがあまり広くなるとせっかくのシステムがうまく活用できませんからそのへんの兼ね合い、バランスが必要でしょうけど、どうしても漏えいしちゃあいけないというものはクローズドにしておかなくてはいけないと思います。
<技術力を常に向上>
――最後になりますけども、財団法人鳥取県情報センターの今後の役割はどのようなものが期待されるのでしょう。
知事:私は鳥取県情報センターというものは従来は、誕生したころはいわば計算システムの集中化、計算を集中して行うというというシステムだったと思うんですね。ですけど今はそれから脱皮をして鳥取県のIT政策をほんとに現実に進める上での中核拠点機関だと思っています。ですから是非その自覚を持っていただいて、ひとつは財団法人ですけども公的な機関ですから公正さを絶対に忘れないようにしていただきたい。そのためには徹底して透明性を確保することが必要だと思います。もうひとつはやはり技術力を常に高めていく努力をしていただいてユーザー、市町村、県民、企業の皆さんから信頼感を持っていただける組織に是非なっていただきたいと思います。
――どうもありがとうございました。
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